スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
イチローと彼が戦った投手たち。
「研究者」だけが秘密を解ける?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2018/05/12 17:00
会長付特別補佐という役職の就任も、人とは全く異なる道だ。イチローの研究の旅は続いていく。
研究者を極められるのはイチローだけなのでは。
イチローと同い年で、いまなお現役のバートロ・コロンに対しては、101打数26安打3本塁打6三振の記録が残っている。もっと打ち込んでいたような気がするのは、本塁打が多かったからだろうか。ちなみに、イチローが最も多く本塁打を放った相手は、2メートル近い長身のジェイソン・ジョンソンだった。29打数9安打で本塁打が4本。そのうちの1本('03年9月5日)は、私もボルティモアのカムデン・ヤーズで目撃した。
そういえば、イチローは、日本人投手のなかでは上原浩治と岩隈久志を打てなかった。対戦した回数は多くないが、上原に対しては13打数2安打6三振、岩隈に対しては11打数1安打と抑えられていた。ふたりとも、剛球で押すタイプではない。相性だろうか。それともなにか別の理由だろうか。野球には、本当に不思議なことが多い。「研究者」を極められるのは、イチロー本人しかいないような気さえしてくる。