ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER

王者の輝きあり、伏兵の大健闘あり。
10大ネタで今季ブンデスを振り返る。 

text by

遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2018/05/11 16:30

王者の輝きあり、伏兵の大健闘あり。10大ネタで今季ブンデスを振り返る。<Number Web> photograph by Getty Images

バイエルンがマイスターシャーレを掲げるのは見慣れた光景だが、今季ブンデスでは様々なトピックスが起きていた!

シャルケは躍進、ドルトは……。

<2.青年監督率いるシャルケの躍進>

 シャルケの躍進も今季を象徴する出来事だった。就任時は31歳だった青年監督ドメニコ・テデスコが植え付けたアグレッシブなプレッシングサッカーが機能し、宿敵ドルトムントとの“レヴィアダービー”で1勝1分けと勝ち越しただけでなく、フェリックス・マガトが指揮官だった2009-10シーズン以来となる2位でフィニッシュした。

 前線から激しく仕掛ける守備を前提とした戦術が時に批判に晒されもしたが、とにかく勝負弱かったシャルケを変えたテデスコは称賛されてしかるべきだろう。非凡だったのはモチベーターとしての手腕だ。自身より3歳年上のナウドから下部組織上がりのウェストン・マッケニーまで選手と意見交換を繰り返し、数多くの選手を飛躍へと導いた。

 抜群の機能性を示した守備同様に、素晴らしい完成度だったのがセットプレーだ。ダニエル・カリギウリが主にキッカーを務め、圧巻の高さを誇るナウドがヘディングで合わせるパターンは、相手からすれば分かっていても止められなかった。セットプレーから25得点以上を挙げたのは、ブンデスリーガで統計が始まってから初めての快挙だという。

<3.踏んだり蹴ったりのドルトムント>

 浮き沈みが激しかったのがドルトムントだ。序盤は話題をほぼ独占した。ペテル・ボシュ監督が標榜したオランダ式の攻撃サッカーが猛威を振るい、開幕から第9節まで首位をキープ。しかし、攻守のバランスに欠けていたチームは、主軸のルカシュ・ピシュチェクが負傷離脱するアクシデントも響き、第10節から9戦未勝利と突如として低迷した。

 年が明けると、想定外のトラブルも発生した。チーム得点王だったピエール・エメリク・オーバメヤンが移籍を志願し、ミーティングを無断欠席するなど不満分子と化したのだ。結局、フロントはこのアフリカ最強FWを手放す決断を下さざるを得なかった。

 その代役として獲得したミヒー・バチュアイがいきなりブレイクしたことと、怪我でシーズン前半を棒に振ったマルコ・ロイスの完全復活が後半戦の明るい話題。ただ、前者は第30節のシャルケ戦で左足首を痛め、最後までピッチに立ち続けることは叶わなかった。

 来季は新監督(有力候補はニースのルシアン・ファブレ)の下でリスタートを切る。

【次ページ】 ジャマイカン、長谷部フランクの健闘。

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
バイエルン
ドルトムント
シャルケ
伊藤達哉
長谷部誠

海外サッカーの前後の記事

ページトップ