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ハンドボール代表に世界一の監督が。
シグルドソンという男の履歴書。
posted2018/04/23 08:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Cedric Diradourian
指揮官は2年半後の大舞台のみならず、さらにその先をも見据えている。
Number944号(2018年1月18日発売)の特集を全文掲載します!
世界一の指揮官が日本のハンドボール界にやって来た。
ダグル・シグルドソン、44歳。ハンドボールやサッカーが盛んなアイスランド出身で、首都レイキャビクで生まれ育った。現役時代はアイスランド代表として215試合に出場。欧州選手権やアテネ五輪にも出場した経歴を持つ。
現役引退後はオーストリアやドイツのクラブで監督を務め、2011年にブンデスリーガの最優秀監督賞を受賞。'14年8月には強豪ドイツで外国人として初めて代表監督に就任し、'15年に国際ハンドボール連盟(IHF)の世界最優秀監督に選出された。
さらに'16年の欧州選手権ではスーパースターが集まるドイツ代表をまとめ上げ優勝へと導くと、リオデジャネイロ五輪では銅メダルを獲得とその功績は大きい。サッカーで言えばジョゼ・モウリーニョのような存在で、世界屈指の名将と呼ばれている。
「どうしてそんな大物が日本に?」
リオ五輪後、去就が注目されるなか、シグルドソンは日本代表の指揮を執ることを決断した。そのニュースに「どうしてそんな大物が日本に?」と世界中が驚いた。
「私の性格によるところも大きいのですが、日本の今の状況を変えたいと思ったのです。正しい道に進むためには多くを変えなければいけません。それが大変だということも分かっています。現役時代には、湧永製薬に所属('00~'03年)し、日本リーグでもプレーしていましたが、本当に良い経験をさせてもらいました。だからこそ、今度は私が日本のハンドボール界を手助けしたい、発展にぜひ貢献したいということで決断しました」
日本男子は1988年のソウルを最後にオリンピックの出場権を逃し続けていた。昨年1月の世界選手権では出場24カ国中22位と低迷。'20年東京五輪は開催国枠で8大会ぶりの出場がすでに決定しているが、シグルドソンには自国開催のオリンピックで上位進出が狙えるレベルにまで代表を引き上げる手腕が期待されている。