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ハンドボール代表に世界一の監督が。
シグルドソンという男の履歴書。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byCedric Diradourian
posted2018/04/23 08:00
シグルドソンが最も大切にしているのは「選手個々、チームを向上させること」だ。
少しアグレッシブさに欠けているのかな。
反面、日本人選手に決定的に不足しているのが経験だ。昨年2月の就任会見でも指揮官は、弱点として「フィジカル面と大きなプレッシャーがかかる状況下での経験が足りない」点を指摘している。
「国際的な経験が足りていません。それを補うために、我々が欧州に行くこと、または欧州の選手が日本に来て、同じ土俵でトレーニング合宿を行うことで、よい刺激を受けるのではないかと思います。日本人選手はどちらかというとシャイで控えめな印象が強い。
たとえば昨年の世界選手権ではファウル数が少なかった。もちろん、ファウルをしろというわけではないのですが、少しアグレッシブさに欠けているのかなと感じました。また、フィジカルに関しては、経験のある年上の選手の方が強く、逆に若い選手はまだまだ足りていません。
(これまで招集した選手の中には)200cm以上の選手、また、それに近い選手もいますが、正しい方法でさらにフィジカル面を鍛えてほしいですね。これらは国際試合や海外合宿を多く積み重ねることでも身に付くのではないかなと思います。だからこそ、これからさらに彼らに経験を積ませていきたい」
「すべての試合で絶対に勝ちたい」
昨夏には長期欧州合宿を実施。自らのパイプを最大限に活用し、アイスランドのクラブチームと対戦した。さらに、昨年末も再び欧州合宿に出向き、ポーランド代表やアイスランド代表などと対戦。日本人選手に不足している経験を地道に重ねている。
経験のみならず、試合を戦う上ではファイティングスピリットも必要不可欠だ。
「私はトレーニングマッチでも世界選手権でも、すべての試合で絶対に勝ちたいと思っています。選手たちにもそういった姿勢は常に示してほしいと思いますし、そういう選手たちにはチャンスを与えます」