炎の一筆入魂BACK NUMBER
サッカーも野球も指揮官は大変。
カープ緒方監督が気を付けていること。
posted2018/04/14 09:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
監督業とは酷なものだ。常に結果を問われ、内容も求められる。勝てば称賛され、敗れれば罵声を浴びせられる。
ロシアW杯に臨むサッカー日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が本大会を目前に解任された。結果や内容だけでなく、現場をまとめ、現場以外との関係性も大事ということなのだろうか。
日本プロ野球界で今、最も「解任」から遠い立場にいるであろうと思われる広島の指揮官、緒方孝市監督に「ハリル解任」について問うと、「俺に辞めろと言っているのか」と笑いながら怒られた。
すべての責任を背負う立場で常に解任と背中合わせなのは、連覇中の指揮官であっても同じ。チームが連敗中の時期ということも含め、愚問だったと猛省している。
広島の監督に就任して4度目の春を迎えた。監督として初めて過ごしたシーズンは、心が折れそうになるほどの罵声を浴びせられた。真っすぐな性格ゆえ、強い使命感や責任感から必要以上に力が入っていたのかもしれない。
厳しさは言葉だけでなく、表情にも表れるようになり、誤解やすれ違いを生んでしまった。チームは最終戦に敗れ、クライマックス・シリーズ進出すら叶わなかった。
「1つの色に染めようとは思わない」
「無力」とすら感じた1年だったという。
現役時代から、自ら「一匹狼」と言うほどチームメートと群れることなく己を磨いてきた。だが、今は時代が違う。ときの流れ、チームの変化に合わせたチーム作りが求められた。理想は違う。それでも強くなる術を選んだ。
「個人的には物足りないところはあるよ。でも、それでいい。1つの色に染めようとは思わない。チームの色は毎年変わる。2016年は黒田(博樹)と新井(貴浩)が引っ張ってくれた。今はタナキクマルの世代が中心。彼らが作る空気がチームの空気」
才能と練習量をこなせる力を持った選手がグラウンドで存分に力を発揮し、チームには明るさと結束が生まれた。