プロ野球亭日乗BACK NUMBER
今度はメジャー最強投手から2ラン!
大谷翔平「価値ある1本」の尊さ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAP/AFLO
posted2018/04/05 11:55
2点差で追いかける苦しい展開の中……快心の2ラン! 2日連続の本塁打に、スタジアムは再びのスタンディングオベーションに。
1打席目は手が出ない感じにも見えたが……。
初球は外角に146キロのシンカー、2球目は逆の軌道のカットボールを外角に決めてあっさり追い込む。3球目の内角球をファウルで逃げたが、4球目には外角のギリギリに147キロのストレートをズバッと決められた。
手が出ないという感じにも見えた。
ただ本人の中では「ボール1個分、(ストライクゾーンを)外に広げないといけないというのは感じました。ただ三振でしたけど、心の中ではしっかり待てていた感じはあった」とボールの軌道をしっかり見て、次に繋げる打席にできた確信はあった。
そうして迎えた第2打席だ。
最強右腕からの本塁打が「本物」と証明。
初球、2球目とその狙っているカットボールが内角をえぐる。
「一通りデータはみて、今日も内角はしっかりきていましたし、内側のカットボールは狙っていました。(2球目は)比較的甘いボールをファウルにしてしまったというか、させられてしまった」
やや甘く入ったその2球目をファウルにしてしまい、打席で珍しく悔しそうな表情を見せる場面もあったが、すぐさま切り替えられたのが勝因だったともいえるだろう。
3球目の外寄り、147キロのフォーシームだった。
しっかりと腕を伸ばして捉える番だった。
「投げミスが極端に少ない。その中でたまたま僕の打席で、あの球は投げミスだったんじゃないかと思います。その球をしっかり打てたのが自分にとってラッキーでした」
こうして最強右腕から放った本塁打は、まさにこの23歳の若者が、本物であることを全米に印象づけるに十分なものだったはずだ。
延長戦に突入した試合。10回の第4打席では通算123セーブのクローザー右腕のコディ・アレン投手の151キロを中前にはじき返して2戦連続のマルチ安打も記録した。