野ボール横丁BACK NUMBER
三重の1番・梶田蓮は天才だった。
仲間たちが信頼した圧倒的な観察眼。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKyodo News
posted2018/04/04 11:00
大阪桐蔭を追い詰めた三重高校の打線には、梶田蓮の特殊能力が輝いていた。
4試合41安打の陰に、梶田の存在。
大阪桐蔭は5回から根尾昂にスイッチ。最初の対戦で、いきなり二塁打を放った梶田だったが、印象は柿木のときと正反対だった。
「スライダーがものすごく切れていた。あのスライダーをしっかり見極めないと、なかなか打てないと思いました」
そこまで打率5割と当たっていた2番・浦口も、梶田のアドバイスが頭にあったが、対応し切れなかった。
「スライダーがキレキレなので、真っすぐを待ってたんですけど、思わずスライダーに手をだしてしまったし、真っすぐがきても速くて打てませんでしたね……」
結局、三重打線は根尾から8回で1点も奪うことができず、延長12回、2-3でサヨナラ負けしてしまった。
梶田はこう言うしかなかった。
「相手の力が上でした」
とはいえ、4試合で41安打を積み上げた三重打線の鋭い打球は鮮烈な印象を残した。
その陰には、チームメイトが天才と呼ぶ男の「なんとなく」があった。