話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「難しいJ2」で大宮ようやく2勝目。
三門雄大の言う犠牲心は備わるか。
posted2018/03/29 07:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
試合終了の笛が鳴ると、ゴール裏のサポーターからは歓喜の声というよりもホッとしたという空気があふれ出ていた。
勝利の歌をサポーターとともに選手が肩を組んで歌う。
選手たちの表情は、やっと勝てたという安堵感に満ちていた。
3月25日、大宮アルディージャはアビスパ福岡に2-1で勝ち、今季2勝目を挙げた。
J2リーグ開幕前、大宮は圧倒的な戦力から優勝候補のひとつに挙げられていた。開幕戦は、マテウス、ロビン・シモヴィッチら点を取るべき選手が点を取り、ヴァンフォーレ甲府に2-1で勝利して好スタートを切った。
ところが続く町田ゼルビア戦に2-3で敗戦すると徳島戦は後半7分に失点してそのまま0-1で完封され、ツエーゲン金沢戦は後半41分に追いついて1-1のドロー。ロアッソ熊本戦も後半40分に失点して1-2で敗れ、第2節以降4試合は1分3敗と勝ち星から見離されていた。
町田戦は0-2から追いつきながらも再び突き放されての敗戦だった。その後も開始10分間、終了5分前の失点が目立っている。サッカーでよく言われる「魔の時間帯」だが、そこで失点してしまうのは集中力の欠如などが要因として考えられる。
「犠牲心が足りなかったのかなと」
だが、キャプテンのMF三門雄大は、集中力以外の面でも課題があったという。
「犠牲心というものが足りなかったのかなと思います」
三門は、さらにこう続けた。
「誰かのために何かをやってあげようとか、誰かが抜かれたらカバーしてあげようとか、そういうのが足りなかったと思います。たとえば1対1でこぼれたボールに反応してあげるとか、中盤の選手がつついたボールに前線の選手が反応してくれるとか。
前線の選手が相手を追いかけるのはしんどいと思うんですけど、うしろの選手もしんどい思いをして足を出したり、(ボールを)つつこうとしている。それを前線の選手が拾って収めてくれたり、ファウルをもらってこっちのボールにしてくれる。そういうプレーをしてくれるとすごくうれしい。そういう部分が足りなかったと思うんです」