【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
南アではサンウルブズの知名度が高い!?
現地で痛感したラグビー文化の差とは。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byAtsushi Kondo
posted2018/03/19 16:30
南アのキングス・パーク・スタジアム。3月10日の対シャークス戦では、22-50でサンウルブズが敗れた。
グラウンド上でファンと選手が握手する風景。
日本人は数人、スタンドにいたくらい。コンコースからスタンドに出るところには、サンウルブズの旗を背中に背負って、1人の日本人が気高く応援していました。
その立ち姿からは、地球の裏側でも日本人とラグビーが強く息づいていることを感じさせられました。私はスタンドで一般のファンに混じって観戦したのですが、周りは南アフリカの方々だけ。しかし、試合が終わると「ナイスゲーム」と言われて周りの方々から握手を求められました。みなさん、とても温かいんですね。
さらに驚いたのが、その後です。
ファンのほぼ全員がグラウンドになだれこむように降り立ち、選手と普通に握手をしている。そして、ボールを持参した家族など一般の人々がそこかしこで、カオスのごとくラグビーをやり出したのです。
生活とラグビーの密着度が、日本とは全く違うことを目の当たりにしました。
既存のラグビー好きしか楽しんでいない。
空港にはラグビーグッズが売っているし、空港でも、ホテルでもテレビで当たり前のようにラグビーの映像が流れている。
キングス・パーク・スタジアムは、シャークスの本拠地ということで「シャーク・タンク」と呼ばれています。今年8試合しか行わないにもかかわらずですから、いかに尊重されているかがわかるでしょう。
振り返って、日本のラグビーについて考えさせられました。忖度が存在する内向きの体質。既存のラグビー好きしか楽しんでいない現状。これではラグビー人気は広がりません。
日本でも、もっとラグビーと日常の距離が近くなれるのではないでしょうか。
地球の裏側まで、より多くの方々がサンウルブズを応援に行ってくださる未来が、あるのではないでしょうか。このままではファンが雪だるまのように拡大することは難しい、と感じざるをえない日々に、私も苦悩します。
まずは、ラグビーに関わる人間が、未来へのビジョンと信念を持ち、「変えなくてはいけない」ということを言葉にすることを恐れず、何事も180度変えるくらいの勇気を持たないと明るい未来は訪れない。
南アフリカにおいて、気高く「The アウェイ」で戦う選手の姿を見て、私は再認識しました。