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パラアイスホッケーの61歳・福島忍。
医師に言われた「良い方なんだよ」。 

text by

神津伸子

神津伸子Nobuko Kozu

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photograph byKyodo News

posted2018/03/10 09:00

パラアイスホッケーの61歳・福島忍。医師に言われた「良い方なんだよ」。<Number Web> photograph by Kyodo News

最終予選でもほぼ1人でゴールを守った61歳の福島忍。ライバルの望月和哉が36歳だが、負けるつもりはない。

61歳の福ちゃんは年下からもそう呼ばれる。

 その代表チームの平均年齢は41.9歳。この数字をかなり引き上げているのが61歳の福島忍、通称福ちゃんだ。年下のチームメイトからもこの愛称で呼ばれる。ちなみにパラ五輪2連覇中のアメリカの平均年齢は27歳だ。

 とにかく明るくて、取材中も何回もガハハと笑い声をあげていた。

「モットーは、何事にも挑戦することかな。いやあ、オリンピックのアイスホッケーの決勝は、素晴らしい試合ですごく刺激を受けました」

 福ちゃんが住む静岡には、通年で滑れるリンクが無いため、普段は毎週土曜日、往復3時間運転して長野での練習に通い続けている。

 福ちゃんの競技歴はさすがに長い。長野パラリンピック出場を目指し、その2年前にこの競技に取り組み始めた。パラアイスホッケー日本代表チームを編成するということで、公募があり「どうしてもパラ五輪に出たくて」車いすバスケットから転向した。

 24歳の時のバイク事故で車いす生活となり、小学生の時から続けてきたサッカーができなくなった。サッカーでもゴールキーパーだった。根っからのスポーツマンで、車いすバスケで日本代表を、と思っていたが猛練習で股関節を痛めてしまった。そんな時に出会ったのが、パラアイスホッケーだった。

 しかし、長野では代表から漏れた。その後のパラ五輪では代表入りしたが「あの長野で落ちた時の悔しさが、今でもバネになっている。もちろん、何回もやめたいと思った時もありました」

医師に言われた「良い方なんだよ」。

 福ちゃんは笑う。

「手術をしてくれた先生に言われたんです。『手を使える福島さんは、良い方なんだよ』って。だから悲観なんてしませんでした」

 この言葉が原動力になったのだろう。その手で、身体全部で、世界の強豪のシュートを封じ込めている。

 間もなく平昌パラリンピックも、FACE OFF。

 福ちゃんの果てしない夢は、まだまだ続く。

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