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メドベデワ、ザギトワを生んだ
ロシア“虎の穴”潜入取材の舞台裏。
text by
栗田智Satoshi Kurita
photograph byOlga Skorupskaya
posted2018/02/08 08:00
バレエやダンスなど、スケーティングの技術以外の演技レッスンにも、多くの時間が割かれているサンボ70。
コーチがリンクに現れると、選手の表情が一変!
その後、リンクに移動して、トップ選手たちの練習を見学する。
やはりというか、氷上のトゥトベリーゼはまるで別人だった。
表情はさきほどとは一変して真剣そのものだ。
彼女が登場するや、リンクにはピンと張り詰めた空気が漂い始める。ひょうたんやスネークでウォーミングアップをするメドベデワにしてもザギトワにしても表情は一気に険しくなる。もちろん数日先に欧州選手権が迫っているというのもあるだろう。リンクサイドに置かれたおなじみのぬいぐるみのティッシュケースとの対比がなんとも言えない。
リンクサイドにはメドベデワのおばあさんもいて、「あそこから2階に上がれますよ。もしよかったら」と親切に教えてくれた。
「ジェーニャ(メドベデワの愛称)の復帰を心待ちにしています。やっぱり彼女がナンバーワンです」と伝えると目を細めて「ありがとう、ありがとう」とうなずいていた。少し離れたところにザギトワのおばあさんもいたが、「優勝狙ってがんばってください。もうすぐ新女王ですね」と言うのはあまりに節操がないのでやめた。
リンク外でも繰り広げられる、多様な基礎練習。
あっという間に時間となり、リンクから早々に締め出されてしまったため、その後は地下での練習を見学させてもらう。
地下には、バレエやダンス用のトレーニングルームが大小3部屋、ウエイトトレーニングルーム、更衣室、医務室などがある。
タイミングよく、トゥトベリーゼの別グループがジャンプの陸上練習をしていた。鏡でフォームを確認しながら、片足での二重跳び、半分に折った長さでの縄跳びなど、まずは縄跳びを使った基礎練習。
その後、アシスタントコーチのセルゲイ・ロザノフ(ニコライ・モロゾフ系のイケメン)による連続ジャンプの指導が入念に行なわれていた。