月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
松坂大輔、岩瀬仁紀、そして闘将。
1月のプロ野球界は中日が席巻!?
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2018/01/31 16:30
星野仙一氏をしのび、ナゴヤ球場に設置された献花台に花を手向ける森監督。
これは……東スポがジャーナリストモードの時だ!
《チームを長きにわたって支えた功労者を人的補償で移籍させるなんてことになれば球団にとっては大失態。ファンから批判が噴出するのは間違いない。とはいえルールはルール。日本ハムサイドには少しの非もない。中日球団サイドはこの事実を岩瀬本人に伝え、納得してもらうよう努力した。しかし、頑として岩瀬は首を縦に振らず。「最後には『人的補償になるなら引退する』とまで言ったらしい」(球界関係者)》
見かねた日本ハムが大人の対応でオファーを取り下げて金銭補償に切り替えた、という。たしかに衝撃の内容。
「でも東スポだからねぇ……」と思う方もいるかもしれない。
しかし30年以上東スポを読んでいる私の実感からすると、この記事はやっぱりスクープだと思う。おもしろ新聞のイメージを持たれているかもしれないが、実は東スポの野球内幕&事件記事は昔からずっとシビア。淡々と掘り下げ、とにかく読みごたえがあるものが多い。
記事の最後には「デスクの目」と題し「あってはならない“抜け穴”」と問うている。
《人的補償で指名された選手が「移籍するのは嫌なので引退します」がまかり通れば、今後はベテラン選手を怖くて指名できなくなる。(略)そうした事態を防止するためには、各球団の良識に任せるのではなく、早急にルールの整備が必要だ。》
ああ、東スポが真面目でジャーナリストモードのときだ。今回の「岩瀬」記事は入魂の一球だったのではないか。
日本ハムの球団経営に、中日や巨人が振り回される。
日ハムのすごさもあらためて感じた。北海道に移転してからの日ハムは球界の常識にとらわれず、空気も読まない(もちろん良い意味で)。
巨人で決まりと思われていた菅野智之指名や、まさかの大谷翔平指名も思い出す。「新しい」ことをするチームはやっぱり中心になるし強くなっていく。
こうしてみると、日ハムの斬新な手法に中日や巨人という旧盟主側のチームがあたふたさせられているという事実がなんか象徴的。