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蜷川実花が撮るパラリンピアンの美。
「スポーツ写真に新しい角度を」
text by
山内宏泰Hiroyasu Yamauchi
photograph byMika Ninagawa
posted2018/01/30 08:00
印象に残る蜷川実花さんの作品の数々。彼女の新たな挑戦として、被写体にパラリンピアンを選んだ。
生きるヒントみたいなものが転がっている。
誌面には、競技のことのみならず半生について掘り下げたインタビュー記事も付されている。ファッション・ポートレートと、人物像に迫る記事の組み合わせ。それが『GO Journal』誌面の基本形となる。スポーツという枠に留まらず、ライフスタイルやドキュメンタリーを扱うマガジンといった趣である。
「スポーツって記録や勝敗といったこと以外にも、興味のツボはたくさんありますよね。自分の力を出し切るためにいつもどんなことをしているのか、どのようなストーリーを背負ってフィールドに立っているのか……。スポーツを見慣れていない人や、自分ではスポーツをしない人にも共感できる話や生きるヒントみたいなものがいくらでも転がっている。
コアなスポーツファンじゃなくたって、パラリンピックに興味を抱いて思わず振り向いてくれるようなものを。ふだんスポーツをしない私なりのアプローチは、そういうことだろうと思っているんです」
スポーツの門外漢でも、カルチャーを知ってほしい。
裾野を広げること。それに、思いがけないもの同士をぶつけ結びつけること。もともとはスポーツの「門外漢」といってもいい蜷川実花が、『GO Journal』をつくったり組織委員会理事を務めたりする動機はそこにある。
「“2020年”をきっかけにして政治・経済分野の人が今のカルチャーを知ろうとするだとか、アーティスト・クリエイター同士がコラボレーションするような機運は高まっています。新しいつながりがあちこちでできることは、数年後にオリンピック・パラリンピックが控えていることの効用です。この歓迎すべき流れの一助に、私もなれたら」