ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
石川遼は“大人の事情”を壊す達人。
選手会長になる前から数々の実績が。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/01/27 08:00
5年ぶりの日本復帰で、ギャラリーも健在。石川遼という存在はゴルフ界にとってやはりとんでもなく大きい。
プロと同じセッティングでプレーする経験の重要さ。
石川の狙いは「早いうちに高いレベルのセッティングに慣れたほうがいい。日本で各コースが一番難しくセッティングされるのが、男子のレギュラーツアーが開かれるとき。彼らがその難しさを知ることができれば、目指すものが変わる」というもの。
ツアー開催コースは、大会が近づくにつれ、一般営業日よりもフェアウェイの幅を絞り、ラフを伸ばし、グリーンを硬くするなどして難度を高めていく。それをジュニアにも経験させるべく、各コースや大会主催者に協力をお願いした。
54ホールを戦わせることで、世界アマチュアランキングのポイント対象の試合にもなる可能性がある。すべて日曜日開催なので、学校を欠席する必要もない。
ちなみに、3会場の合計ストロークで優勝した高校1年生、杉浦悠太の岐阜関CCでのスコアは75。直後に行われた実際の日本オープンで、池田勇太が66(第2ラウンド)をマークたのだから、ジュニア選手たちの驚きはよりリアルになったはずだ。
何度も“大人の事情”を破壊してきた。
石川の発案で始まる数々のイベントには、もちろん協力者が大勢いる。「こういうの、できるかなあ?」の言葉を実際に形にする方は大変だ。それでも、ここまでやってきた。
日本のゴルフ界には協会やら連盟やら、20近い“団体”が存在する。日本ゴルフ協会、日本ゴルフツアー機構もそのひとつ。何かにつけて、それぞれの縦割りの理屈や常識に驚かされることがある。
ただ、上述のジュニア大会については各団体の協力があり、呉越同舟で尽力することがあった。毎回、企画に携わる関係者は「実際の現場レベルでは(所属団体を問わず)ゴルフ界のために、考えに賛同、協力してくださる方が多いんです」と明かした。
石川遼というブランド名と、彼の持つアイデアには「いろんな制約や建前を“ろ過”させる力があるのではないか」と分析する。“大人の事情”をぶち壊し、「やりたい」を「やる」にしてきた彼の実績は今後、期待の要素として大きい。