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NBAを目指し、シュートは譲らない。
渡邊雄太が戦う大学での最後の1年。
posted2018/01/13 07:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Yoko Miyaji
ロッカールーム前で取材を受けていた渡邊雄太(ジョージワシントン大)に向かって、横からスッと手が伸びてきた。
「グッドゲーム」
渡邊は一瞬驚いたようにも見えたが、すぐに自分も手を差し出し、2人は握手を交わした。
11月、ラスベガスで行われたラスベガス・インビテーショナル初戦の試合後のこと。渡邊に握手を求めてきたのは、その日、ジョージワシントン大が対戦したゼイビア大4年のトレボン・ブルーイット。渡邊と攻守でマッチアップしていた選手だ。
ゼイビア大はこの時点で全米ランキング15位の強豪チーム。ブルーイットは、チームのエースで、対戦時には1試合平均24.3点をあげていた。昨年春、一度はNBAのドラフト入りを考えてアーリーエントリー申請をしたが、のちに取り消して大学に戻ってきた。全米に名前が知られたNBA予備軍だ。
そのブルーイットとマッチアップした渡邊は、長身と長い手足を生かし、互角の戦いをしていた。ディフェンスではブルーイットのシュートをブロックしたり、チャージングを取り、オフェンスでもジャンプシュートやフローターを決めるなど奮闘。
逆にやられた場面もあったが、見ごたえがあるマッチアップだった。
渡邊自身は「通用していたプレーや、ディフェンス面でも抑えることができていたときはあったんですけれど、簡単にシュートを打たれて決められたりする場面も多かった。もうちょっと修正しないと」と、手ごたえを感じながらも、反省の弁を口にしていた。
「相手も自分を意識しているのかなと考えると」
そんな強敵から求められた握手。嬉しくないわけがない。そう聞くと、渡邊は言葉を選びながら言った。
「そうですね、まぁ、はい。嬉しい……というか、相手も自分を意識しているのかなと考えると、今後やりがいもまた出てきます」
単に「嬉しい」で終わるのではなく、先へのモチベーションへとつなげる言葉。真面目で向上心の高い渡邊らしい回答だった。