スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
レアルを倒した10万人の町クラブ。
ジローナとグアルディオラ弟の野心。
posted2018/01/01 11:30
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
AFLO
今季のラ・リーガは小さな町クラブの活躍が目覚ましい。
1部最小、人口約2万7千人の町クラブである乾貴士のSDエイバルは、17節を終えて7位に浮上。1部2年目のCDレガネスも1試合未消化ながら13位と健闘している。
ホームタウンは人口10万人弱、今季がクラブ史上初の1部挑戦となるジローナFCもその1つで、6勝5分6敗の暫定10位でクリスマス休暇を迎えている。
日本にジローナの名が初めて知れ渡ったのは、当時17歳の指宿洋史とプロ契約を結んだ2009年1月のことだ。
当時のジローナは49年ぶりに2部昇格を果たして間もなく、本拠地のエスタディオ・モンティリビはバックスタンドに座席がなかった。雑草が生い茂る丘の上から試合をタダ見するファンを見て「これが2部クラブのスタジアムか」と驚かされたものだ。
その後チームは2部に定着するも、クラブ創立87年目にして初の1部昇格を果たすまでには紆余曲折があった。
9年間で監督、オーナー、会長交代を繰り返し大混乱。
2008年夏の2部昇格から現在に至るまでの9年間、ジローナでは実に11度の監督交代と3度のオーナー変更、7度の会長交代を繰り返してきた。
当然ながらそんな状況でチームの成績が安定するはずはなく、2008-09シーズンは残り3節、2009-10は最終節の94分、2011-12は残り2節でようやく残留が確定。'14年3月に就任したパブロ・マチン現監督も、初年度は最終節でかろうじて残留を決めている。
現場がマチン体制で固まった後も、悲願の1部昇格は近そうで遠かった。
2014-15シーズンは最終節ルーゴ戦の92分まで自動昇格圏の2位にいながら、土壇場の失点で3位に転落。サラゴサとの昇格プレーオフ準決勝ではアウェーで0-3と快勝しながら、ホームの第2戦で1-4と大敗するショッキングな形で昇格を逃した。
翌シーズンもリーグ4位で2年連続となるプレーオフに進出。準決勝でコルドバを破って決勝まで勝ち進んだが、最後はオサスナに敗れている。