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一度は引退を考えた空手女王・植草歩。
全日本3連覇から東京五輪目指す!
posted2017/12/08 16:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Itaru Chiba/AFLO
2020年東京オリンピックで追加種目としての採用が決定して以来、空手界が沸騰している。
昨年、2年に一度開催の世界選手権で初めて王者になった植草歩(高栄警備保障)は今年も大忙し。フランス、UAE、カザフスタンなど世界6カ国を飛び回り、日本人選手としては初の年間グランド王者に輝いた。
「今までの競技生活の中では一番気持ちを入れて試合をしてきた1年間だったと思う」
イベントやテレビへの出演も増え、空手のルールなどを訊かれることも多くなった。そのたびに植草は空手には形と組手のふたつがあってと切り出す。
「形は組手と大きく違って魅せる競技。スピード感、力強さ、さらにしなやかさもあって面白い。一方、組手の方は蹴りや突きだけではなく、投げもある。その魅力のひとつに技の多彩性が上げられますね」
リオで正式種目にならなかった瞬間、引退を考えた。
空手界は2005年以降、オリンピックの追加種目になるべく努力してきたが、その願いが叶うことはなかった。リオデジャネイロの時は最終選考まで残ったが、決選投票でレスリングに敗れ涙を呑んだ。
その時、植草は引退を考えたという。
「リオの時、自分は24歳で社会人2年目。社会人で空手を続けるというのは空手界では稀で、とくに女子は少なかった。もうチャンスはないと思いました。引退していたら、今頃高校で体育の先生をしていたと思います」
しかし、2020年に東京でオリンピックが開催されることが正式に決まると、「空手を追加種目へ」という機運が再び高まった。