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「まるでヒョードル…生命体として強い」RIZIN新王者シェイドゥラエフとは何者なのか? 62秒でクレベル粉砕「とんでもない奴が現れた」1年前の“予言”

posted2025/05/12 17:01

 
「まるでヒョードル…生命体として強い」RIZIN新王者シェイドゥラエフとは何者なのか? 62秒でクレベル粉砕「とんでもない奴が現れた」1年前の“予言”<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

RIZIN初出場から1年足らずでフェザー級王者となったラジャブアリ・シェイドゥラエフ。衝撃の62秒TKOでクレベル・コイケを粉砕した

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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RIZIN FF Susumu Nagao

 (なぎ)から時化(しけ)になるのに時間はかからなかった。5月4日、東京ドームで開催された『RIZIN男祭り』。メインイベントで組まれたRIZINフェザー級タイトルマッチは1ラウンド1分2秒、挑戦者ラジャブアリ・シェイドゥラエフが右ストレートからのパウンドでクレベル・コイケをTKO。圧巻の“62秒殺”で新チャンピオンとなった。

「2ラウンドから柔術を…」作戦はなぜ瓦解した?

 昨年6月、シェイドゥラエフのRIZINデビュー戦で対戦し、リアネイキッドチョークで敗れた武田光司は「1ラウンドに組みで負けたのは初めて。とんでもない奴だなと思いました」と語った。それから11カ月。シェイドゥラエフは瞬く間にフェザー級の頂点へと駆け上がった。

 クレベルは中盤以降にワンチャンスをモノにする形で相手を仕留めるファイトスタイルを得意にしている。2021年6月、同じ東京ドームで行なわれた朝倉未来戦もそうだった。途中までは朝倉の打撃の前に劣勢に立たされたが、コーナーで下になるや得意の三角絞めを決め、逆転ともいえる一本勝ちを収めたのだ。

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 今回もクレベルは2ラウンド以降に勝負をかける作戦を立てていた。

「1ラウンド、シェイドゥラエフはパンチ、キック、そのあとはグラップリングで来る。自分はそれを待っていた。彼が強いのは1ラウンドだから、そこは我慢。2ラウンドからはもっと柔術を使おうと思っていました」

 今回もシェイドゥラエフの出方はイメージ通りといえばイメージ通りだった。

「彼は、いつも1ラウンドだけ強く打ってくる」

 クレベルの見立ては的中していた。にもかかわらず、なぜその作戦は狂ってしまったのか。理由はひとつしかない。シェイドゥラエフの打撃が想像以上に強く、耐えられる範疇を超えていたのだ。

 ムエタイの一流ファイターは1ラウンドの出会い頭に思い切りミドルキックなどをぶつけてくるケースがある。そうすることで、「俺はこんなに強い一発を持っているんだぞ」というプレッシャーをかけるのだ。シェイドゥラエフの打撃にはまさにそんな迫力があった。

【次ページ】 リングに熱狂を呼び戻したシェイドゥラエフ

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