マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
高校球界屈指のショートが大集結。
晩秋の熊野は、次世代の才能の宝庫。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byMasahiko Abe
posted2017/12/04 07:00
熊野で行われる高校野球界注目の“フェスタ”。紀南高・岡という逸材を発見した!
バッティングの修正力だってなかなかに侮れない。
そう思っていたら、終盤のマウンドに上がってきた。ドッシリと低く踏み込んで、リリースだけに力点を置いたような、無理のない腕の振り。それでも低めにぐっと伸びてくる速球がある。
投げる才能、間違いなし。
あとで聞いたら、この秋、早くも146、7キロが出ているらしい。ただ“MAX”以上に、130キロ後半の球速を保ったままミットに収まる球質が、ありがたい。早稲田大のエースとして1人で投げて、巨人、近鉄でも奮投を重ねた三澤興一を思い出した。
打席に立つと、開いてドアスイングになりながらレフトポール際のライナーを飛ばすと、次のボールを一転、ライトポール際にフェアのライナーにした。市立岐阜商・中神拓都、バッティングの修正力だってなかなかに侮れないのだ。
紀南高・岡秀俊も気になって仕方がない。
一方で、対戦した紀南高の遊撃手も気になって仕方がない。
中神とは対照的な、長身・スリムな軽快な動き。作った感じがまるでない自然な身のこなしと、やはり、軽いスナップスローで一塁手の顔より低く投げられるスローイング。“筋”がいい。
三遊間寄りに飛んだ強いゴロにサッと反応して、捕ったと思った途端、もう二塁ベースへ投げて併殺に持ち込んだ。捕球→送球のスピード感がすばらしい。ポン、ポン! でボールを出せる手のひら感覚と指先感覚。
おっと、名前を紹介するのを忘れていた……。
紀南高・岡秀俊(おか・ひでとし/2年・179cm67kg・右投右打)遊撃手。パンフレットのメンバー表には63kgとなっていたが、そこまで細くはないはずだ。
打席で構えた姿が大きい。スタンス広め、グリップの位置も高く、背中もまっすぐ立っている。大きく構えられるのは、「さあ来い!」の気持ちの表れだ。