錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
最近、錦織圭が明るくなってきた!?
「ケガをして良かったと思う部分も」
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byKyodo News
posted2017/12/02 11:30
ドリームテニスで共に会場を沸かせた松岡氏と。松岡氏が錦織世代を育てたように、また錦織も若い世代を支援することになる。
「ケイは子供たちにとってとてもいいお手本」
出会いの中には、10月に治療とリハビリのために訪れたベルギーでの出会いが、当然含まれているはずだ。
グランドスラムで4度のシングルス優勝と2度のダブルス優勝を誇る元女王キム・クライシュテルスが故国ベルギーのブレー市に作ったテニスアカデミーを拠点に、手を専門とする外科医や整骨医の助けを借りながら約20日間を過ごした。
積極的に環境の変化を求めたことで新鮮な知識を得たに違いない。
そして、得ただけではなかった。
アカデミーのスタッフは、「ケイは子供たちにとって、テニスでも生活の面でもいいお手本。彼のやさしさや堅実な努力についてこのアカデミーに携わる人みんなが話している」とフェイスブックで紹介したのだ。
世界最高4位のベストパフォーマンスを披露することができれば、夢見るテニスキッズたちをもっと喜ばせることができたに違いないが、ケガを負い、辛い状況の中にあっても、先のスタッフが書いたような姿をブレーの人々に印象づけた錦織は、たくさんの幼い心の中にも何かを残しただろう。
世界は社会貢献やリーダーシップなどを錦織に求める。
スターの影響力はすさまじいものだ。ひょっとしたら錦織は、その力をこれまで以上に自覚したほうがいいのかもしれない。
毎年のように、世界の長者番付や「影響力のある人物」といったリストに名前が挙がる錦織に、世界は自然と社会貢献やリーダーシップ、強い発信力を求めている。
無理強いされることではないにせよ、錦織のステータスの高さを考えれば、身近な枠を超えた活動をもっと率先して行なうことができるに違いない。