錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
最近、錦織圭が明るくなってきた!?
「ケガをして良かったと思う部分も」
posted2017/12/02 11:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Kyodo News
公の場所という意味では3カ月ぶりに姿を現した錦織圭は、思いのほかスッキリした顔をしていた。
東日本大震災の復興支援を目的にしたチャリティーイベント、『日清食品ドリームテニスARIAKE』。ジョン・マッケンローやアンドレ・アガシ、ゴラン・イバニセビッチ、アンディ・ロディックといった錚々たるレジェンドたちが来日した過去に比べると、今回はゲストがマイケル・チャンと韓国のチョン・ヒョンだったこともありアジア色の強い顔ぶれになったが、引退したばかりの伊達公子の参入もあり、1万席のスタンドはほぼ満員の盛況ぶりだった。
周知の通り右手首のケガでリハビリ中の錦織はまったくプレーしなかったが、ダニエル太郎/綿貫陽介vs.内田海智/中川直樹という距離の近い後輩たちのダブルス、チャン/伊達vs.松岡修造/大坂なおみという個性の強い面々のダブルスで主審台へ。脇役に徹した錦織は、持ち味の(?)とぼけたキャラを存分に発揮し、ユルいトークと、頼りないジャッジで会場を大いに盛り上げていた。
「ケガをして良かったと思う部分もある」
コート上で松岡さんのインタビューを受けたときも、あとで記者会見に応じたときも話していた「ケガをして良かったと思う部分もある」という言葉が強がりや虚言に聞こえなかったのは、確かにコートで見せていた姿に悲壮感がなかったからだ。
「出会えた人や見えてきたものがあるし、トレーニングも充実していたし、メンタル的にもリセットできた。成長に費やす時間になったし、この先のキャリアに向けていい充電期間になった」
錦織はそう続けた。しかし、今回の来日で語ったケガの回復状況と見通しは、期待していたものと比較して〈良好〉とはいえない。