“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
CB坂圭祐は174cmの小さな巨人。
湘南内定、遠藤航の後継になるか。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/11/23 07:00
順大では見事なキャプテンシーも発揮していた坂。ゆくゆくは湘南を背負う存在になるべく期待されている。
浅野拓磨から来た、お祝いメールの意味。
湘南入団が内定したとき、四日市中央工の大先輩である浅野からも、お祝いのメールをもらっていた。
浅野もまたこの「小さな強力CB」の礎を築いてくれた貴重な存在であったからだ。
「高校時代にほぼ毎日マッチアップしていました。あのずば抜けたスピードを消すためにより正確で早い予測をしたり、タイミングを合わせたりしていたので、考える力を凄く養うことができたと思います。普通のテンポでやっていたら絶対に間に合わないので、カバーリングやコースを切る予測を常にし、田村翔太さんもいたので、そこの連携に対応することで守備力が相当に鍛えられたと思う」
ちなみにユニバーシアード日本代表では、スタメン出場のときはCBで、途中出場の試合では左右どちらかのサイドバックで起用されていた。
まさに遠藤と同じ、ハイレベルなユーティリティープレイヤーとして、代表での信頼を得ていたのだ。
ウィークポイントをストロングにする必要は無い。
最後に遠藤を日本代表にまで育て上げたチョウ監督が、来季から師弟関係となる坂に対して、こうメッセージを送った。
「重要なのは小さいことがウィークポイントにならないようにすること。そこはタイミングや経験、読みで十分にカバーできるはずだ。ウィークポイントをストロングポイントにする必要は全く無くて、“ウィーク”を“ノーマル”にしていく感じで。その作業こそ今のプロサッカー界で物凄く重要なことだから。『足りないものが無い』という選手になることがまずベースで、その上で際立っているものが1つ以上あることが重要なんだ。そうならないと今の時代のトータルフットボールを体現できる選手にはなれない」
小さな強力CB、坂圭祐。
遠藤の後を追い、そして追い抜く選手になるべく、身長のコンプレックスを高いレベルの技術に変えていく作業はまだまだ続く。より「大きな存在」になるために――。