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ノーベル賞作家のベストセラー、シンプルで力強い不朽の釣り文学。~ヘミングウェイ「芸術的語り」の真骨頂~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2017/11/08 07:00

ノーベル賞作家のベストセラー、シンプルで力強い不朽の釣り文学。~ヘミングウェイ「芸術的語り」の真骨頂~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『老人と海』E・ヘミングウェイ著 小川高義訳 光文社古典新訳文庫 600円+税

 舞台はキューバ、メキシコ湾流の海。小舟に乗って漁に出る老人は、不漁続きだった。40日目までは少年が同行したが、両親は少年を別の船に移らせた。85日目、いつもより沖合に出た老人は巨大なカジキを針にかけた。カジキはロープを握る老人の手を引き裂き、小舟を引き回す。丸2日間の戦いの末、銛で仕留めたカジキを小舟に繋ぎとめた。ところが、サメの群れに襲われて……。

 一読しただけで心に残る、シンプルで力強い中編小説。大カジキと、そしてサメの群れと、三昼夜孤独の戦いを続けた老人は小舟の上で言う。「人間、負けるようにはできてねえ。ぶちのめされたって負けることはねえ」。小説の主題探しなどしたことはないが、老人が自分自身に語り掛けるこの言葉こそ、本書の主題なのが自然に伝わってくる。釣り文学の傑作、渋い冒険小説、不屈の人間を象徴的に描いた寓話ともいえそうだ。様々な感想が浮かぶのが、この単純な話の奥深さだ。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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