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濱口遥大の球を誰よりも受けたから。
好投導いたDeNA高城俊人の観察眼。
posted2017/11/10 17:30
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Hideki Sugiyama
今年の日本シリーズをここまでおもしろくした立役者の一人として、もっとスポットライトが当てられてもいい。
横浜DeNAベイスターズの第3捕手、高城俊人だ。
3連敗で追い詰められた第4戦、ドラフト1位ルーキーの濱口遥大とバッテリーを組み、大一番に先発出場した。2人は重圧に屈するどころか、若さゆえの馬力でパ・リーグ王者を圧倒した。8回途中まで安打を許さず、反攻の足がかりとなる初勝利をもぎ取った。ホークスによるスイープ(4連勝)もあるかと思われたシリーズは、ここから明らかに潮目が変わった。
CS広島戦でも濱口-高城バッテリーが救った。
ポストシーズンに入り、チームがこのコンビに救われたのは2度目だった。
CSファイナルステージ初戦、失点直後の降雨コールドというやるせない負け方を喫したベイスターズは、わずか5イニングしか戦っていないにもかかわらず「0勝2敗」からの巻き返しを強いられた。
逆の見方をすれば、アドバンテージの1勝を与えられていたカープは5イニングで2勝を稼いだとも言え、第2戦にも勝っていたなら、勢いそのままにあっさりと決着がついていた可能性が高かった。
しかし、濱口-高城のバッテリーがそれを許さなかった。7回を2失点で切り抜ける128球の熱投。5回表に代打を送られたため高城がマスクをかぶったのは4回までだったが、立ち上がりが不安定な濱口をやさしく導き、波に乗せた。
はじめての日本シリーズ、しかも負ければシーズンが終わる重い一戦に臆することなく臨めたのは、このCSでの経験が大きかった。