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バスケ日本代表に15歳の超新星!
田中力は東京五輪の切り札になる?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byShin Hamada
posted2017/11/09 11:30
U17、18、19、ユニバーシアードの代表を飛び越えて、一気にフル代表に選出された田中。父がアメリカ人の横須賀出身である。
「海外に行くと全部自分を出せる」
今年夏、初めて海外でプレーした。
中国とオーストラリアで行われた海外キャンプに参加。自分と同じぐらい負けず嫌いな海外選手たちが集まる中でのプレーは、面白くてしかたなかったという。
日本では、感情を少しでも表に出すと「感情をコントロールできないからだめ」「怒るからいい選手になれない」などと批判されることもあり、窮屈に感じていた。それだけに、遠慮せずに自分を出し切れるいい環境が心地よかった。
「海外に行くと無茶苦茶やりやすいです」と田中は言う。
「(日本では)ほぼほぼ、自分を抑えながらやんなきゃいけないけれど、海外に行くと全部自分を出せる。パフォーマンスも変わるって言われました。空気も全然違うんですね」
“アンストッパブル”な選手になることを目指して。
一方で、感情をコントロールする必要があることは自分でも理解していた。この数年、怒りを抑えることを意識し始め、その結果、まわりからもメンタル面で成長してきたと言われるようになった。
「『メンタルが弱い』と言われて、『いや、俺はメンタル強い』っていうところをみんなに見せたくて、怒りたかったときに我慢したり(するようになった)。ずっと我慢していくと、それが当たり前のようになってきた。だから(メンタル面で成長したと言われるのは)すごく嬉しい」
U16日本代表に田中を抜擢したトーステン・ロイブルヘッドコーチは、田中の競争心は、彼の武器だと言う。
「多くの日本人コーチが弱点と考えている感情こそが、彼の武器だと私は思っている。火の玉のような感情を正しい方向に導くのはコーチにとってもチャレンジだが、それができれば、彼の才能、スキルと合わせて、“アンストッパブル”な選手になる。そこに到達するにはまだ道のりは長いが、そのためにも彼には高いレベルでの競争が必要だ。
彼は、本当にものすごいポテンシャルを持っている。身体の作り、長い手、スーパーアスレティックで、爆発力もすばらしい。そして、彼はファイア(炎)を持っている。その感情を正しい方向に向け、コントロールすることができるようになれば、彼はとてもいい選手になるだろう。私は本気で、彼こそが日本人選手の中で最も高いポテンシャルを持った選手だと思っている」