【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
カープ松田オーナーに学んだこと。
池田純が考える人気球団経営の秘策。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/10/18 07:00
球団グッズの豊富さでも有名なカープ。他の球団のファンに比べてグッズを集めるファンが多いのも特徴だ。
「カープはグッズだ」ということに気づいた。
カープの松田元(はじめ)オーナー兼社長とは、私がベイスターズの社長になった時から懇意にさせていただいています。
初めて会いに行った時、マツダスタジアム全体を見学させてもらいました。球場としてもちろん魅力的なのですが、私が思ったのは「カープはグッズだ」ということです。
魅力的なものが多く、売店が正面入口の隣にあります。
松田さんはグッズに非常に力を入れている。試合で何かあったら翌日にはすぐにTシャツを出すような反射神経もすごい。グッズを通して、ファンとのコミュニケーションを図っているのでしょう。
「わしが20年かけてやったことをお前は5年で実現した」
松田さんから、一度褒められたことがあります。三浦大輔さんの引退試合でした。
三浦さんの垂れ幕・ポスター・看板などを、駅から球場への道はもちろんのこと、デパートやビルなどにも掲げさせてもらい、街ぐるみの協力を得て大規模なセレモニーを行いました。三浦さん本人とクリエイターと私の3人で話し合い、「永遠番長」というコピーを作り、前面に押し出しました。
それを見に来てくれた松田さんが「ええことやっとるな。わしが20年かけてやったことを、お前は5年で実現したな」と。
私が松田さんから学んだのは、何よりも「熱」が大切だということ。ファンに楽しんでもらいたい、という強い思いのもとで、組織全体をリードしているのでしょう。
一時期、ボールボーイの代わりにボールを運ぶ犬(ミッキー)がいましたよね。あれなんて、最初はバカバカしいと感じたけれど、今思うと、チームが強くないなりにできるサービスを全力でしていた、ということですよね。