プロ野球亭日乗BACK NUMBER
6年前の山田哲人と同パターン?
DeNAのCS秘密兵器は細川成也だ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/10/13 10:30
いきなりプロ初本塁打を放った細川。ラミレス監督が“秘密兵器”とするのは、この19歳かもしれない。
遠くに飛ばす力は松井クラスの19歳細川。
ポストシーズンの大舞台だからこそ、年齢や経験を飛び越えた「何か」が、勝負の流れを変えることもある。そういう存在を見つけ出して抜擢する。それが短期決戦の監督の腕の見せどころでもあるわけだ。
14日から甲子園球場で始まるセ・リーグのCSファーストステージ。2位阪神と激突するDeNAのアレックス・ラミレス監督が見つけ出したそんな秘密兵器がプロ1年目の細川成也外野手だった。
「遠くに飛ばす力は松井(秀喜)クラスの潜在能力を持っている。必ず将来のウチの柱になる選手だから必ず見ていってよ!」
今春の宜野湾キャンプを訪れたときに名伯楽として知られる吉田孝司スカウト部長兼編成本部長、GM補佐がこう絶賛していた逸材だ。
昨年、明秀学園日立高校からドラフト5位で入団した右投げ右打ちの外野手は、キャンプからその長打力が他球団の編成担当の間でも話題となっていた。
開幕後はずっと二軍で腕を磨いてきたが、ファームでチーム最多の435打席に立って打率2割1厘ながら10本塁打とパワーに磨きをかけてきた。
そうして細川の持つ「何か」を感じさせたのが、シーズン終盤の爆発だった。
ラミレス監督も「カブレラのようだ」とビックリ。
巨人との熾烈なCS争いを制した直後の10月3日に一軍昇格。
その日の中日戦に「5番・右翼」で先発起用されると、プロ初打席でいきなりバックスクリーンを直撃する特大の3ランを放ったのだ。さらに最終戦となった翌4日の同カードでも2試合連発となる2号ソロを右翼席に叩き込んだ。
このパワーに目を丸くしたのがラミレス監督だった。
「日本人でこれだけのパワーを持っている選手は見たことがない。アレックス・カブレラ(元西武)のようだ」
すぐさま一軍残留を決めると、CSに向けた社会人との練習試合でも生き残りをかけたテストを行った。その2試合の4打数で中堅フェンス直撃の二塁打を含む3安打と結果を残してファーストステージでのベンチ入りを力でもぎ取ったのである。