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マクラーレン・ホンダ、ラスト鈴鹿!
最後まで諦めなかったアロンソの意地。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2017/10/10 12:45
「1ポイントだけでも得られれば、僕らの努力にふさわしいものになったはず……」とレース後にコメントしたアロンソ。
ホンダが、あえてアロンソと距離を置いた理由とは?
ホンダがF1に復帰した'15年から2年目の'16年にかけて、パワーユニットの性能を大きく向上させることができた陰には、アロンソの助言があった。
「最初はフェルナンドが言っていることがわからない部分が正直ありました。それが実際にレースを戦っていくうちに、『そういうことだったのか』ということがしばしばありました」(ホンダ・エンジニア)
だから、長谷川はアロンソがホンダを批判しても耐えていた。それだけではない。アロンソの気分を害さないよう気を遣った。
「例えば、エンジンに問題が出たときは、何が悪かったのか、これからどうしようとしているのかを説明しなければならない。当然われわれが行けば、フェルナンドだって、言いたいことがあり、つい熱くなってしまう。だから、予選前とかレース直前に行くようなことは避けて、あえて距離を置いていたこともありました」
長谷川の直言で、ついに和解したアロンソとホンダ。
だが、シーズンが中盤に差し掛かっても、ホンダの競争力が向上しないと、アロンソの批判はさらにエスカレートしていった。
ある日、長谷川はアロンソを呼び、こう言った。
「われわれのパワーユニットが後れをとっていることは事実だ。だから、いかなる批判も受け入れる。ただし、感情的な対立はお互いのためにならない。建設的な意見をお願いしたい」
こうして迎えたアロンソとホンダの最後の日本GP。
過去2年間、ホームコースとなる鈴鹿で、1ポイントも獲得することができていないホンダ。今年もスタート直後には後方からのレースを強いられた。