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名門・高砂部屋に待望の幕内力士。
朝乃山、大らかな師匠と歴史を紡ぐ。 

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byKyodo News

posted2017/09/09 09:00

名門・高砂部屋に待望の幕内力士。朝乃山、大らかな師匠と歴史を紡ぐ。<Number Web> photograph by Kyodo News

朝稽古で汗を流す朝乃山。スケールの大きな四つ相撲で地元・富山を沸かせられるか。

「上位を脅かす大きい本格派も育ってこないとね」

 コケティッシュな笑顔に、負けん気の強さを垣間見せる朝乃山は、189cm・165kgと恵まれた体の大型力士だ。

「一番のライバルは豊山。負けたくないです。これからは右四つを磨いて、体を生かして前に出る相撲を取っていきたい」

 そうきっぱりと言い切る。

 今、連日満員御礼の大相撲ブームのなか、関脇の御嶽海、自身最高位まで番付を上げた前頭四枚目の宇良、三枚目まで躍進した阿武咲、五枚目の貴景勝など、若い世代が土俵を盛り上げている。

 高砂親方は、角界の将来を担う逸材として、愛弟子に期待を込めて、こう言った。

「先場所は若手のなかでも、小型力士が頑張っていました。ここで本格派の大型力士が出て来れば、また大相撲というのは面白くなる。もちろん小兵力士も大事ですが、上位を脅かす大きい本格派も育ってこないとね。上を目指すなら、本人も言っていたように『この形になったら負けない』という自分の型を確立しなきゃいけない。朝乃山の場合は右四つの型ですね。

 こいつのような大型力士が攻める相撲を見せれば、『これは将来性があるなぁ』と、ファンも期待できるはず。新しいファンの方々の、相撲の見方も変わってくるのではないかと思うんですよ」

朝青龍電撃引退で少なからず傷を負ったが。

 まずは「勝ち越しが目標」と言う朝乃山に対し、「あの豊山クンだって新入幕の場所は負け越したからね」と、師匠はその細い眼をいっそう細めるのだった。

 かつての“朝青龍電撃引退”時は、師弟ともに少なからぬ“傷”を負った高砂部屋。いつしかその傷も癒え、流した涙を汗に変えた。朝乃山の昇進ではずみをつけ、十両復帰を目指す朝弁慶、今場所は幕下16枚目まで番付を上げた東洋大卒の村田、朝乃山と同じ近大卒の玉木も関取昇進を目指す。

 おおらかな師匠のもと、高砂部屋の力士たちは伸びやかに、その新たな歴史を紡いでゆくのだろう。

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