濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
AKBメンバーの試合に聖地熱狂!
『豆腐プロレス』興行という脅威。
posted2017/09/01 08:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
(C)WIP2017製作委員会(C)AKS
「まるでアイドルのコンサートのような熱狂と歓声」という表現も使い古された感じだが、でも本当にそうだった。
なにしろリングで試合をしていたのは本物のアイドルで、客席を埋め尽くしたのは彼女たちのファンなのだ。
8月29日、プロレスの“聖地”後楽園ホールで行なわれたのは『豆腐プロレス The REAL 2017 WIP CLIMAX in 後楽園ホール』なるイベント。AKB48グループのメンバーがプロレスラーを演じたドラマ『豆腐プロレス』が現実に興行を開催するというものだ。出演をきっかけに大のプロレスファンとなったSKE48・松井珠理奈は〈ハリウッドJURINA〉として、主演のHKT48・宮脇咲良は〈チェリー宮脇〉としてリングに登場、劇中の団体WIPのタッグ王座を争った。
大会を見る前の正直な気持ちは「大丈夫か?」であった。
ドラマの撮影後も、今大会のためにメンバーが真剣に練習してきたことはさまざまな形で伝わってきたし、総選挙にせよ大規模なライブにせよ、彼女たちのアイドル活動そのものがタフでなければできないものだろう。そのプロ根性は侮れない。とはいえ、だ。
見せる“工夫”とマッチメイクの妙。
ドラマでは、プロレスの技の途中でカットを割っていた。
簡単にいえば、フライングボディプレスで「飛ぶ瞬間」と「相手にぶつかる瞬間」を分けて撮る。そのほうが安全だし効率もいいのだろうが、それではどうしたって「ごまかし」に見えてしまう。
現実の試合、四方から見られるリングでカットを割るわけにはいかない。ゆえの「大丈夫か?」であった。
結果から言うと、不安は3割くらい当たり、7割は外れた。“プロ顔負け”とはさすがに言えないが、メンバーの魅力込みで、前半戦から充分に楽しめるものではあったのだ。それぞれ、できることとできないことの差は大きい。ムーンサルトプレスを決めるメンバーがいる一方で、腰の入っていないエルボーに失笑してしまう場面も。ロープワークは総じてぎこちなく、投げ技などで受け身らしい受け身を取る場面も少なかった。