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DDTプロレスが近未来を託した男と女。
学生竹下幸之介と筋肉アイドル才木玲佳。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/09/02 07:00
竹下による美しいクロスアーム式ジャーマン・スープレックス・ホールド。王者の風格が出てきた。
慶応大のアイドルから、プロレスのチャンピオンに!
才木は8月26日の後楽園ホール大会で坂崎ユカを破って、TOKYOプリンセス・オブ・プリンセス王座を獲得した。
線の細い女子が多い中で、才木は150センチに満たないように見えるが、バランスのとれたガッチリ感のある体を持っている。
武藤敬司ゆずりのヒザ蹴りシャイニングウィザードも繰り出せば、自慢の筋肉を生かしてラクダ固めなどの力技も見せる。
「筋肉があってよかった」
才木は嬉しそうに叫ぶ。
慶応の女子大生だったW-1のチア・サポーターは、格闘技イベントのラウンドガールを経て、アマチュアのキックボクシングのリングでも戦ってきた。武藤のW-1が運営する専門学校「プロレス総合学院」の第1期生でもある。
レスラーとしてのデビュー戦はその卒業記念試合で、木村花と戦った。2016年3月のことだから、そのキャリアはまだわずか1年半と少ない。
だが、才木の動きにぎごちなさはなく、プロレスにフィットしてきている……と私は感じることができた。
アイドルがチャンピオンになってもいいじゃないか!
高木大社長は落ち着いてしまったDDTの未来に危機感を抱いているはず。不安を感じたからこそ、ディーノにリングでの全権を委ねたのだ。
竹下幸之介と才木玲佳――ディーノは、この2人にDDTの近未来を託してみる気になれただろうか。