プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
DDTプロレスが近未来を託した男と女。
学生竹下幸之介と筋肉アイドル才木玲佳。
posted2017/09/02 07:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
竹下幸之介は高校生の時に日本武道館で華々しくデビューした。それから5年経って、現在は日体大の4年生だ。
若さと身体能力を武器に最初からスター候補生として順調に育ち、今年は3月のさいたまスーパーアリーナでも、8月の両国国技館でもメインをとった。
国技館でのフィニッシュは相手の両腕を交差させて、その手首を持ってのクロスアーム式ジャーマン・スープレックス・ホールドだった。
写真を見ていただければわかりやすいが、力学にもかなったきれいで説得力のある強力な投げ技になった。
初めて使ったのは3年前のケニー・オメガ戦だったが、この技は普段は温存していてめったに使うことはない。だが、精度はアップしていた。
竹下のキャッチフレーズ「フューチャー=未来」が見える技だった。
竹下とDDTの未来が見えた、8.20国技館。
竹下が3月にKO-D無差別級タイトルを奪取したHARASHIMA戦は、私的には正直いい印象はなかった。何かが足りなかった。持ち前の元気も不足していた。あの時は竹下がトーンダウンしていると感じて残念に思った。
だが、8月20日の国技館、チャンピオンとしての遠藤哲哉戦は、竹下とDDTの近未来を期待してもいいものになった。
「両国のメインは2年連続。でも、昨年、メインで敗北したことがずっと頭に引っかかっていた。だから今度は勝つこと、それをモチベーションにしてずっとやってきた」
竹下と遠藤は、すでに後楽園ホールで4月に一度対戦している。この時は60分戦っても決着がつかなかった。
運命のような再戦は必然的に国技館で行われた。
7度目の防衛戦となったこの試合では、アスリートとして、フィジカル面でも精神面でも、かなり拮抗していた。
だが、竹下は「プロレスを楽しむことができた」と言う。
入場時にゲート前のステージで日体大名物「えっさっさ」が行われていた。この応援が「自分を後押ししてくれた」と竹下はふり返った。日体大の学生ならではの感慨だが、「えっさっさ」の応援効果は絶大で、竹下は遠藤に競り勝つことができたとも言える。