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“レジェンド”朝原宣治が語る世陸。
「リレーの選手交代」の功績について。
text by
別府響(文藝春秋)Hibiki Beppu
photograph byKyodo News
posted2017/08/22 08:00
出場した選手もそうでない選手も、そして彼らを支えたスタッフも、全員で勝ち取ったメダルであることは間違いない。
逆境でもチームとしてしっかり走れたという功績。
走れていない選手は自分でも分っていますし、ビデオで分析もしているとは思うんです。
「このくらいタイムをロスしているから代えるんだよ」という説明もされているとは思うんですけど、それにしても「そこを修正して走れば良いじゃないか」という想いは当然、ある。
サッカーとかは慣れているので平気で選手交代がありますけど、陸上競技ではよりセンシティブなんです。だからこそ、そういう中でもチームとしてしっかり走れたというのは、凄いことだと思います。
今大会の功績として、そこは非常に大きいと思っています。
英国が非常に上手いバトンの技術を見せた。
バトンに関しては優勝した英国が凄く上手でした。
日本ともはや変わらないくらい。
高い水準の自己ベストも持っていて、調子も良くて、あのバトンをされるとやっぱりタイムも日本記録を上回る37秒4台とかが出る。
バトン技術まで含めて外国も本腰を入れてきています。
今回は故障もあってサニブラウン君が入らなかったですけど、エースの選手がしっかりバトンも渡せるようになっていく必要があると思いますね。
バトン渡しは練習だけではなかなか完成しません。アドレナリンが出ている試合とは違うので、やっぱり本番でちゃんと渡せているという状況を作っておきたいですよね。
例えばサニブラウン君が4走を走るんだったら、桐生君が来年も好調なら、3走―4走でアジア大会で繋いでみるとか。そういうことを試合の舞台でやっていかないといけない。
今回で言えば2走飯塚君―3走桐生君みたいな区間はやっぱり大きいですよ。過去の経験もありますし、五輪のような本当に大きな、緊張する舞台で失敗していないという自信がある。強い信頼関係もありますしね。そういう関係性は一朝一夕ではなかなか作れない。