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多田修平の人生が変わった瞬間。
ゆるい雰囲気の裏には負けず嫌いが。 

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byAFLO

posted2017/08/21 07:00

多田修平の人生が変わった瞬間。ゆるい雰囲気の裏には負けず嫌いが。<Number Web> photograph by AFLO

2017年が始まった時の多田修平は大学日本一ではあったが、世界はまだはるか遠くだった。この1年は彼の人生を大きく変えたに違いない。

ゆるい雰囲気の裏には、負けず嫌いな顔が。

「日本代表として走るのが初めてですが、100mでは準決勝をリレーはメダルを狙いたいです」

 ロンドンでの事前合宿ではちょっとゆるい雰囲気で笑顔で話していたが、言葉の端々に負けず嫌いであろう性格や芯の強さがうかがえた。

 そしてウサイン・ボルトと同組になった100m予選ではスタートから飛び出す多田らしい走りを見せ、10秒19で4着に。全体で17番目の記録で準決勝に進出した。準決勝ではスタートでわずかに遅れ、10秒26の5着で決勝には進めなかったが、日本選手権2位がフロックではないことを証明した。

 大会9日目の4×100mリレーでは予選、決勝で日本チームの1走として出場。ボルトの最後のレースとあって異様な雰囲気に包まれて緊張しないはずはなかったが、米国や英国などの強豪国の選手に劣らない走りで1走としての役割を果たし、日本の銅メダル獲得に大きく貢献した。

 リレーの後も、ガトリンは多田への賛辞を惜しまなかったが、本人は「世界選手権で金メダルをとった選手に褒められているのは本当に光栄です。まだまだ僕自身力が足りないので、力をつけてガトリン選手に対抗できるような走りができたらいいなと思っています」と謙虚に受け止める。

 自ら陸上人生を切り開き、チャンスを掴んでいく多田に、今後も注目していきたい。

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