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藤井聡太四段を渡辺明竜王はどう見る?
「野球で言うと高卒1年目3割30本」
posted2017/07/31 08:00
text by
稲田修一(Number編集部)Shuichi Inada
photograph by
Asami Enomoto
天才が天才を語る――。
Number932号では、「天才中学生の真実」と題した特集で、卓球の張本智和選手と、将棋の藤井聡太四段の記事を掲載している。藤井四段については、あらためて説明するまでもないだろうが、史上最年少となる14歳2カ月でプロ棋士となり、2016年12月のデビュー戦以降連戦連勝を続け、今年6月にはとうとう公式戦の新記録となる29連勝を達成してしまった、まさに天才少年である。
この藤井四段の「強さ」を、いかにスポーツ総合誌の記事にするか。そこでご登場いただいたのが、渡辺明竜王である。
渡辺竜王は、藤井四段の前に、史上4人目となる中学生棋士となった、まぎれもない「天才」である。10代の頃からタイトル戦に登場し、20歳で将棋界の最高位である「竜王」を獲得すると、以降9連覇。現在も「竜王」「棋王」の2冠を保持している。
そして、渡辺竜王は「将来は馬主になりたい」というほどの競馬ファンであり、さらに現地観戦に赴くほどの欧州サッカーフリークなのだ。自身も日本将棋連盟フットサル部に所属し、フットサルを楽しんでいる。
予断や憶測に基づいた過剰なリップサービスではない。
渡辺竜王は、自身に続く「天才少年」である藤井聡太をどう見ているのか。棋譜を掲載することなく、その強さをどのように表現してくれるのか。できれば、サッカーや競馬にたとえて、藤井四段の将棋を説明してもらえたら――。「渡辺明竜王が見た『藤井聡太』の強さ」というテーマでインタビューを申し込むと、快く受けていただいた。
千駄ヶ谷の日本将棋連盟の対局室の一室で、様々な質問を投げかけていく。驚いたのは、渡辺竜王が発する言葉が、そのまま文字にできるほど理路整然、明瞭簡潔だったことである。まだ実際に対局をしたことがないので、予断や憶測に基づいた過剰なリップサービスなどはなく、トップ棋士として客観的に藤井将棋について解説してくれた。