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柿谷曜一朗って実は面倒見の男?
“大人”になってC大阪の安定剤に。
posted2017/07/28 07:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
うだるような暑さのなか、大阪のサクラが満開だ。
3年ぶりに復帰したJ1で、セレッソ大阪が快進撃を演じている。7月2日の17節でFC東京を下して12年ぶりに首位に立つと、いったんは鹿島アントラーズにその座を譲ったが、18節で柏レイソルとの上位対決を制して首位に返り咲く。さらに、前倒しで行われた7月22日の22節で浦和レッズを4-2と撃破し、頭ひとつ抜け出した。
ここまで39得点は浦和についでリーグ2位。18失点はリーグ4位タイの少なさで、得失点差プラス21は、群を抜いてリーグトップの数字だ。
もっとも、選手たちに浮ついた様子はない。勝利したゲームのあとでも、多くの選手が課題や反省を口にしている。
尹晶煥監督のもたらした策がハマり、首位を走るが。
なかでも、この状況を最も冷静に受け止めているのが、キャプテンの柿谷曜一朗だろう。シーズンの半分にあたる17節を終えたあと話を聞く機会があったが、そのときチームリーダーは、こんな風に語っていた。
「相手がたまたま外してくれて、僕らがたまたま決めたっていう試合が何度もあったし、もちろん、サッカーってそういうもんやけど、『勝ったけど課題が出た』っていう試合も多い。まだ半分が終わっただけやし、今の状態を維持すればいいなんて思ってなくて。ただ、みんなが現状に満足してないから、この順位にいられるんやと思いますね」
C大阪は今季、OBである尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督を招聘した。サガン鳥栖時代にも首位の経験がある指揮官は、魅惑の攻撃サッカーを繰り広げながら安定感を欠く傾向のあったC大阪にハードワークを植えつけ、守備の約束事を整理した。ボランチやセンターバックが主戦場だった山村和也をトップ下で起用する新布陣もハマり、調子をぐんぐんと上げてきた。