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控えから地道に西武の正捕手争い!
岡田雅利流、若手の人心掌握術。
posted2017/07/26 08:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
「岡田にも、ちゃんとお礼を言わないといけないですね」
3勝を挙げて6月度の月間MVPを受賞した十亀剣が、女房役への感謝の言葉を口にした。
5月まで1勝2敗と負けが先行していた十亀だったが、岡田雅利とバッテリーを組んで、風向きが変わった。「炭谷(銀仁朗)さんのときにも勝っているので」と、連勝の要因はキャッチャーだけにあるのではないと前置きをして、十亀は続ける。
「2人の違いを挙げるなら炭谷さんは1試合を考えてリードするキャッチャー。岡田は、まずはその投手のいいボールでどんどん行こうと考えるタイプですかね。以前は試合の前日に“明日は誰がキャッチャーですか?”ってコーチに聞いていたんですけど、今は岡田だろうなって僕もわかっているから聞かなくなりました」
「岡田なら、これまでと違う展開にできるかな」
岡田起用のきっかけについて、秋元宏作バッテリーコーチは語る。
「最初はWBC帰りの銀(炭谷銀仁朗)に疲労もあったので、オープン戦からずっと出ている岡田を使ってみようと……。守備もよかったし、若い投手が投げるときには、岡田のようなムードメーカーがマスクをかぶるのもいいのではないかという判断でした。今、バッテリーを組んでいる十亀などは、“岡田なら、これまでと違う展開にできるかな”というところに期待しての起用でした」
岡田は今シーズン、36試合に出場(7月23日現在)。正捕手、炭谷銀仁朗に次ぐ出場数を記録し、ライオンズにとって欠かせない戦力となっている。十亀以外では入団2年目の多和田真三郎や、現在は二軍で調整中の高橋光成など、若いピッチャーの先発試合でマスクをかぶった。7月22日の北海道日本ハム戦では先発の多和田を好リードし、継投した投手3名での完封勝利にも一役買った。