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控えから地道に西武の正捕手争い!
岡田雅利流、若手の人心掌握術。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2017/07/26 08:00
牧田らを巧みなリードで操る岡田。プロ4年目の今季は5月のロッテ戦で初めて猛打賞も記録した。
若手にはあえて「当たってしまってもいいから」と。
若い投手とバッテリーを組むときの心構えを岡田に聞いた。
「多和田に限らず、その投手のいいものを出したいと考えて配球を考えます。多和田の場合は、基本的には自分に任せてくれることの多い投手。首を振ることがまずないので、それでもイニングの終わりに“もし自分で投げたい球があればちゃんと言えよ”と話して、多和田の意見も聞いてコミュニケーションを取るようにしています」
優しい気質の多和田は、相手打者にデッドボールを当ててしまうと、そのあと、インコースを攻められなくなる傾向があった。
「言い方は悪いですけど“当たってしまってもいいから思い切り来い”と、あえて言葉にして言いました。バッターや相手ベンチにわかってもいい場面もあるので、そういうときはジェスチャーも交えます」
分かりやすいジェスチャーこそキャッチャー岡田の特徴。
ミットで地面をたたく仕草や、一度、ひざを伸ばして高めに構える動作など、大きく、わかりやすいジェスチャーもキャッチャー岡田の特徴だ。秋元コーチは言う。
「あれが彼のいいところでもあります。気の優しい投手と組んだときには、そういう性格も踏まえて、しっかり引っ張っていってくれます。ゼスチャーも、あそこまで大きいと、彼がどういう風に考えてリードしているのかベンチまで伝わってきますしね」
岡田は続ける。
「フォークを決め球にする投手は、ランナーがいるときはどうしてもワンバウンドを怖がってしまいます。実際に、その怖さから、いちばんの勝負所で真ん中に行ってしまって痛打されることも多い。それで負けたら、投手だけじゃなく自分も後悔すると思う。だから、誰にでもわかるようなゼスチャーで、どんなボールでも止めるぞと、投手に気持ちを見せています」