スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
サマートレードと意外な名前。
マエケンのドジャースの狙いは?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2017/07/22 09:00
前田、カーショーと盤石の投手陣を軸に首位を走るドジャース。しかし世界一をめざすためには補強はマストとなる。
選手側にとっても新天地で気分転換できる可能性が。
マッカラーズのほうは、腰痛からの復帰が意外に早かったが、復帰後の4試合では19回3分の1を投げて自責点13と、結果を残せていない。もうひとりの柱、肘の故障で今季まったく投げていないコリン・マクヒューもそろそろ戻ってきそうな気配だが、いますぐフル回転とはいかないだろう。
そこでアストロズが狙っているのは、ソニー・グレイ(アスレティックス)、ジェフ・サマージャ(ジャイアンツ)、ゲリット・コール(パイレーツ)という中堅の実力派だ。なかでも27歳のグレイは、まだまだ潜在能力を秘めている。'14年と'15年にはそれぞれ200イニングス以上を投げ、2年連続で14勝をあげた実績もある。彼が気分転換に成功すれば、アストロズには心強い戦力となるはずだ。
戦力が整っているドジャースの補強ポイントは?
もう1チーム、地区優勝を確定的にしているのはドジャースだ(2位に11ゲーム差)。こちらはクレイトン・カーショー(15勝2敗)とアレックス・ウッド(11勝0敗)の両左腕が絶好調で、ブランドン・マッカーシーやリッチ・ヒルもまずまずの成績を残している。
問題は前田健太と柳賢振が不安定なことだが、前田は4.23の防御率を3.50前後にまで持っていくことが当面の課題となるだろう。抑えのケンリー・ジャンセン(24セーヴ、防御率0.88)を筆頭に、ブルペンは他球団に比べると堅牢だ。問題があるとすれば、ルイス・アヴィランやグラント・デイトンの中継ぎ左腕がやや安定を欠くことか。
こう見ると、現段階で最も戦力が整っているのはドジャースと思える。懸念はエイドリアン・ゴンザレスの欠場だが、ずっと狙っていたJ・D・マルティネス(今季いっぱいでFA)がタイガースからダイヤモンドバックスへトレードされてしまったので、ここに嵌まるピースが見当たらない。もしかすると、いまひとつ伸び悩んでいるジョク・ピーダーセンを放出して別の打者獲得に方針変更する線も考えられる。