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梶谷隆幸「ま、やる気ない系なんで」
ヤジにもブレない“三振王”の本心。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byKyodo News
posted2017/07/12 08:00
ツボにハマった時の長打力、そして走力はチームでも有数。2番打者でも下位打線でも、梶谷の存在は相手にとっては厄介だ。
目標はトリプルスリーではなく「25本塁打40盗塁」。
トリプルスリーを狙えるポテンシャルを秘めているとしばしば評されながら、今シーズンの目標には「25本塁打・40盗塁」を掲げる。
あるチーム関係者が教えてくれた。
「打率って(打者の主要な指標の中で)唯一、減るものじゃないですか。カジは減るものを追いかけたくないそうです。増えるもの、積み上げるものを追いかけていたいから、目標の中に打率がないんだと。そんなことを言ってました」
梶谷の過去の打率は、2013年に一度だけ3割を超えたものの、それ以降は2割6分から2割7分台にとどまっている。長いシーズン、率を落とさぬようにと意識して当てに行く打撃をするよりも、間違いなく増えていくものを積み重ねたほうが自分らしくいられる――ここにも、プロ入り以来の思索と、その答えとして何かを大胆に切り捨てる決断の痕跡が見える。
周囲はトリプルスリーと言うけれど、自分のパフォーマンスを最大限に引き出すラインは「25本塁打・40盗塁」。
他者からの視線に迎合せず、我が道を行く。
何とも梶谷らしい目標設定だ。