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ロシアW杯は安価で快適な予感が。
コンフェデでモスクワの人情に感動。 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byGetty Images

posted2017/07/06 11:00

ロシアW杯は安価で快適な予感が。コンフェデでモスクワの人情に感動。<Number Web> photograph by Getty Images

2018年ロシアW杯の大会マスコットであるオオカミの「ザビワカ」君。大会メインスタジアムはまだ建設中(拡大工事中)である。

それでも……ロシアW杯は心地良いのではないかと予想。

 システムの不備を個人がフォローするのではなく、できうる限り完璧なシステムを作りあげる――その完成度の高さにおいて、日本は世界最高のレベルにある。金銭的な対価をともなうサービス=「おもてなし」もそのひとつである。

 だが、社会システムの効率を徹底的に追求し、経済的なサービスに置き換えていくのは、同時に他人との距離を置くことでもある。日本人と日本社会が選んだのは、できるだけ他人との関わりを避けて自分を守ることを第一義とする完璧なシステムの構築であった。同時に他人への猜疑心と無関心が他者への親密さに先立つ社会的コードになったのは悲しい現実ではあるが、それは事実の問題であって善悪の問題ではない。

 この先に控えるスポーツのビッグイベント、2019年ラグビーワールドカップや2020年東京オリンピックでも、日本人は考え得る限りの完璧でスムーズなシステムを構築して、日本独自のホスピタリティを実現するのだろう。

 話をロシアに戻すと、もちろんロシアにも問題がないわけではない。

 コンフェデ杯を開催するにあたり覆い隠した現実――フーリガンの問題や、新たに露呈した現実――過去の組織的なドーピング、そして急速に改善しなければならない現実――ロシア代表のレベル向上など、悩みの種は多い。

 だが、そうした悩みを抱えながらも、来年のロシア大会は気持ちよく過ごせる大会になるのではないか。

 そんな予感を抱かせたコンフェデ杯であった。

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