バスケットボールPRESSBACK NUMBER
借金3億円から巻き返した「海賊」。
Bリーグ横浜の“正しくない進化”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB-CORSAIRS/T.Osawa
posted2017/07/04 17:15
Bリーグ初年度、最後の最後まで戦い続けたビーコルの選手とブースター。その歩みは両者をさらに近づけた。
ザンクトパウリのような特異なチームになれるか?
ちなみに“海賊”を前面に打ち出しているスポーツチームがドイツに1つある。世界的にも類を見ないサッカークラブ、ザンクトパウリだ。
2016-2017シーズンのサンクトパウリは、2部リーグに所属にもかかわらず平均観客数は29401人。弱者の味方を自認し、ファッショナブルなグッズをそろえている。その方向性を打ち出したことで、ドイツだけではなく世界中にファンを抱えている。彼らのエンブレムはガイコツで、海賊を模しているのだ。
もちろんビーコルは、ザンクトパウリのような政治的なメッセージは求めていない。しかし、特異性では通じるものがあるかもしれない。
産声をあげたばかりのBリーグを舞台に、彼らが確かな存在感を放っている。そこには奥深さと未来を感じさせる。ひょっとしたら、10年後に笑っているのは、ビーコルなのかもしれない。
「みなさんの期待をあおるのは……やめてくださいね」
少しうつむきがちに語った岡本。しかし、その目は笑っていた。
野望を抱えている者の目だった。