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借金3億円から巻き返した「海賊」。
Bリーグ横浜の“正しくない進化”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB-CORSAIRS/T.Osawa
posted2017/07/04 17:15
Bリーグ初年度、最後の最後まで戦い続けたビーコルの選手とブースター。その歩みは両者をさらに近づけた。
「『海賊』というのは精神論だと思うんです」
「横浜ビー・コルセアーズ」というチーム名には英語で「海賊団」を意味する「Corsairs」を組み入れられており、チームのエンブレムも海賊の顔になっている。このモチーフをどうチームに反映していくかを岡本は考えた。
「ボクは、『海賊』というのは精神論だと思うんです。海賊は自由な生き方をするけど、その分だけ責任を持たないといけない。それはブースターのみなさんにもあてはまるので……」
ビーコルのファンやブースターの姿勢がツイッターを通して、大きな話題となったことがあった。
5月14日、残留プレーオフ1回戦、秋田とのアウェーゲームでのこと。10分間の試合で勝ち抜けを決めるGAME3が行なわれた。残り約1秒の場面で、ビーコルのエース・川村卓也の放った3Pシュートがネットを揺らし、17-16でビーコルが逆転勝利した。
秋田との残留争い後の感動的なエール交換。
ビーコルが残留争いに生き残るとともに、秋田の自動降格が決まった直後の様子を、ビーコルは動画で投稿したのだ。その経緯を、石合が振り返る。
「自然発生的と言いますか、いつからか、試合に勝っても負けても、ブースターさんのみなさんが試合後に相手チームにエールを送ってくれるようになったんです。あの日もその瞬間を抑えようとしていたのですが……」
「Go! Go! ハピネッツ!」
運命を左右する試合を終えた後、ビーコルのブースターが、秋田にエールを送った。その直後である。
「Go! Go! ビーコル!! Go! Go! ビーコル!!」
熱狂的なことで知られる秋田のブースターが、大音量のエールを返したのだ。
秋田ブースターの大半は悲しみにうちひしがれていた。それなのに……。
このエールを受けて、顔を覆って涙を流すビーコルのブースターの姿が映像に収められていた。岡本はこう胸を張った。
「秋田のブースターさんからの『ビーコル・コール』、それはありがたいことでした。ただ初めに、うちのブースターが、秋田のみなさんにエールを送っていたからこそでした」