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借金3億円から巻き返した「海賊」。
Bリーグ横浜の“正しくない進化”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB-CORSAIRS/T.Osawa
posted2017/07/04 17:15
Bリーグ初年度、最後の最後まで戦い続けたビーコルの選手とブースター。その歩みは両者をさらに近づけた。
ブースターを見に来たい、と思わせるようなチームに。
社長就任後に行なったブースター・ミーティングの際に、こう呼びかけたこともあった。
「ビーコルが人気チームになるためには、みなさんが人気のあるブースターにならないとダメなんです! だから、みなさんにも協力していただきたい」
岡本はこう説明する。
「甲子園球場には、野球だけではなく、阪神ファンを見に来るお客さんがいますよね。それと同じで、うちのブースターを見に来る人、もしくは“ビーコル・ブースターの一員になりたい”という人が増えたときこそ、我々は真の人気チームになると思っているからです」
その効果はすでに出始めている。
「ブースターのなかには『私たち、岡本さんによって、調教済み?』みたいに言ってくださる方もいて(笑)。もちろん、調教しているつもりはないですよ。でも、そんな風に気軽に話をしてもらえる関係でありたいなと思っています」
ブースターを社員に招き入れ「研究所」を作った。
チーム強化と同時に、成績に左右されずにお客さんを呼べるような仕かけを作らないといけない。岡本はこうも話す。
「開幕前にスタッフに話したのは、『お客さんが入らないことをチームの成績のせいにしたらフロントの負けだ』ということです。
そもそも、お客さまは、試合に来る前にチケット代を払ってくれているんです。チームが負けたときに得るものがなかったら、詐欺みたいなものじゃないですか。入場料は、会場で時間を過ごしただけで、ある程度はペイできるものにしておかないと。その上で、チームが勝ってくれたら、付加価値が付く、と。『得したな』と思えば、また来てくれるものなんです」
チームは一般の人たちの健康推進に貢献できるようなプロジェクトを進めており、グッズ販売の仕組みもさらに充実させていくという。また、5月にはブースターをクラブ社員として招き入れた。クラブ内に「ビーコル研究所」という名称のセクションを設け、ブースター目線での施策を加速していくつもりだ。