マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
人生を自力で変えた男、SB甲斐拓也。
スカウトが「こいつに賭けてみたい」。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/07/04 11:30
体格に恵まれた者が集うプロ野球の世界で、170cmの甲斐拓也は一際小さい。しかしその存在感は、日に日に大きくなっている。
アマチュアの小さなキャッチャーに勇気を与える存在。
「申し分なし! すばらしいと思います。もう十分、立派な大人として頑張ってくれている」
甲斐をプロに引きあげた男は、立派な“選手”とは言わなかった。
「甲斐にしてみたら、自分の“MAX”を更新し続けているような毎日なんじゃないですか。アマチュアで頑張っている小柄なキャッチャーたちにも、間違いなく勇気や夢を与えているはずです。プロプレーヤーとしての使命も、ちゃんと果たしているじゃないですか」
以前、何かの記事の中で、ソフトバンクは捕手から崩壊する……という危惧を記して、ずいぶん手きびしい反応をいただいたことがある。
細川亨、鶴岡慎也、高谷裕亮……チームを支えてきた先輩マスクたちに、実際“陰り”が見えてきたところで、ぐっと頭をもたげてきた、たたき上げの新鋭マスク。
「人って、こんなに変われるんだな……って、僕にとってもすごく新鮮な発見になってます」
常勝チームのレギュラーマスクという重責を、この先、試練の梅雨場、夏場にどう全うしていくのか。
珍しく、思いっきりの応援モードで、この先を注目していこう。