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元嫌われ者がマスターズを勝つまで。
ガルシアが捨てた驕り、学んだ感謝。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2017/07/04 08:00
セルヒオ・ガルシアは、「暴れん坊」を意味するエルニーニョというニックネームが、すっかり似合わない男になった。
すべてを水に流すわけにはいかない。でも……。
もちろん、近年のガルシアがそうした日々を反省し、人間的に変わってきていたことはハリントンも知っている。ようやく人間として成長しつつあるガルシアのマスターズ優勝に、ハリントンはこんな言葉を口にした。
「すべてを水に流すというわけにはいかない。でも、セルヒオはセルヒオで、とても苦しかったんだろうね」
そう、苦しかっただろうと思う。すべてを水に流すわけにはいかないと感じている人々の気持ちもわかる。実を言えば、私もその1人ではある。だが、ハリントンが言ったように、ガルシアはガルシアで苦しみ、悩み、人々から忘れられ、それでも必死に地道に努力を重ね、変わろうとしてきた。
そして、彼は変わった。だからこそメジャーチャンプになることができた。
それは素敵なハッピーエンドの物語。少なくとも私は、そう思っている。