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駅伝を経由せず、選んだ五輪直行。
“世代最強”遠藤日向の異端ルート。
text by
別府響(Number編集部)Hibiki Beppu
photograph byAFLO
posted2017/07/03 07:00
遠藤は住友電工HPで2017年の目標を「3年後のオリンピックに向けて今年はしっかり土台を作っていきたい」としている。
生粋のトラックランナーとして勝負したい。
学法石川高時代に指導していた松田和宏監督は、遠藤の強さをこう分析する。
「一番は、自己管理能力の高さです。自分で自分をコントロールする力が非常に高い。だから大きな故障も少ないですし、練習にメリハリがついているんです。性格的には派手好きでヤンチャなタイプでもありますから、『なるべく押さえつけないように』とは気をつけていました(笑)」
松田監督の方針もあり、遠藤は高校時代はロードでの練習や距離走をほとんどやっていない。学校近くのクロカンコースとトラックでの練習で鍛えられた、生粋のトラックランナーだ。そんなバックボーンもあり、本人もトラックでの五輪にはこだわりを見せている。
「ひとりで走るのはあんまり好きじゃなくて……」
今回の日本選手権での1500mも、トラックでの戦いを見据えたスピード強化の意味合いが強い。
「駅伝でひとりで走るのはあんまり好きじゃなくて……。だってやっぱり、勝負がしたいじゃないですか!」
そうはにかむ遠藤は、多くの選手がぶつかる高校からの環境の変化という壁も無事に乗り越えることができているようだ。
「場所も変わりましたし、周りの人も変わりました。なにより学校ではなく、一社会人になって働くようになった。やっぱり自分のことは自分でやることが当たり前になったというのは、一番変わったところじゃないかなと思います。
高校時代は、先生に言われたことを確実にやるという“縛り”があった。それが、社会人になると自由になる。悪いことじゃないとは思うんですけど、高校までは縛られてやっていたので、急に自由になった時には、なんというか練習でもしっかりやらないといけないので。そこは苦労したというか、難しいところでした」