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オカダ・カズチカ大阪城フルタイム戦。
IWGPベルトに執着した60分の死闘。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/06/13 17:00
1・4の時は46分間で勝利したオカダ。今回は60分間フルで引き分けた。因縁対決は再び持ち越された、と考えるべきだろう。
オメガ自身、最もIWGPに相応しいと考えている。
オメガにとって1・4の試合が高い評価を受けたことはプロレスラーとしての誇りだった。だが、忘れ物に気づいた。ひとつだけ忘れたものが、IWGPのベルトだった。
「オレの腰にあるべきものだろう」
ほしいベルトだった。日本で、新日本プロレスでトップを張るなら、そのトップの証として、IWGPは必須のアイテムだった。それには絶対王者的な存在感を示しているオカダを倒す必要性があった。
だから、そのベルトに強い執着を見せた。
1・4と6・11……オカダの伝説になる死闘がふたつ。
「プロレスラーは超人だ」とオカダは口にした。
その言葉を借りるなら60分の戦いは、まさに超人たちの戦いになった。
1・4と6・11。どちらが良かったか、は見た人々が決めることだ。
「力が入らなかったり、手がしびれてきたり、もちろんダメージもそうですし、終盤になればなる程、思うように立とうにも立てない。ちょっとしたことで足もふらついた」
机が必要だったかどうかは、わからない。
だが40分になろうとする頃、オカダがコーナーポストから場外の机の上に寝かしたオメガに放ったエルボードロップは圧巻だった。
そのままオメガが、場外KOとなっても不思議でない衝撃だった。
消耗しきって動けなくなったはずの50分過ぎから、2人は何かの新たなエネルギーが注入されたように、動き出した。
オメガのヒザ、高速スープレックス、そしてオカダのドロップキック、レインメーカーが、信じられないほど次々と繰り出された。
でも、3カウントのフォールは遠かった。