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オカダ・カズチカ大阪城フルタイム戦。
IWGPベルトに執着した60分の死闘。
posted2017/06/13 17:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「60分かかる相手だと思ってなかったし、60分かけても倒せない相手がいるとは思ってなかった」
オカダ・カズチカとケニー・オメガとの戦いは想像を超えて、長いものになった。
6月11日、大阪城ホール。IWGPヘビー級選手権試合。
再戦は予想以上に早くやってきた。1・4東京ドームでの46分余の激しい戦いは衝撃的なものであって、こういうプロレスが今、存在しているということを世間に示して、世界をも驚かせた。
だが、正直2度目というのは難しい。
1回目のインパクトが強すぎたから、互いに意識してしまう。意識しないと言ったらウソになる。事実、2人は「世界」を意識していた。
「前の試合を超えようとは思わない。勝つことにこだわった」とオカダは言うけれど、「世界」を意識した結果がフルタイム戦になってしまった。
「ケニーはしぶとかった。やばいヤツだった」
IWGP戦での60分フルタイム戦は2005年3月の小島聡vs.中邑真輔戦以来12年ぶり、大阪城ホールでは、1986年9月16日のアントニオ猪木vs.ブルーザー・ブロディ戦以来30年ぶりということになる。
集まった満員の1万1756人のファンはレアなものを見たことになる。
オカダは試合が始まって間もなく左ヒザを気にし始めた。その後も何度かヒザを確認した。違和感があったのは間違いない。そこをオメガは見逃さなかった。
足殺しがオカダを追い詰めていった。
30分、40分と時間は経過していった。
「キツイ戦いだった。それよりも、ケニーの強さにもビックリしました。70分あれば勝てたのか、と言われたら分からない。自分でイメージができないくらい、ケニーはしぶとかった。やばいヤツだった」