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“女子初の快挙”へ…上谷沙弥はプロレス大賞MVPを受賞できるのか? 発表直前に聞いた“本音”「正直怖い気持ちも…女子プロレスの未来が変わる」
posted2025/12/15 17:01
プロレス大賞MVP候補の上谷沙弥。12月29日には両国国技館で安納サオリの挑戦を受け、1月4日には朱里と東京ドームで戦う
text by

原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
スターダムで大人気の上谷沙弥は12月29日に両国国技館で安納サオリの挑戦を受け、ワールド・オブ・スターダム王座(赤いベルト)8度目の防衛戦を行う。12月10日に行われた記者会見で安納と乱闘を繰り広げた上谷は今、何を思うのか。念願のプロレス大賞MVPの発表直前に話を聞いた。
「サオリの本音が聞けてすごく良かったよ」
「今の安納サオリ? 普段は多く語らない印象があったから、会見でサオリの言葉を聞いて、こんなにも思っていることがあるんだって正直びっくりした。プロレスに対しても、私に対しても。サオリの本音が聞けてすごく良かったよ。これから戦いが面白くなっていくんだな、って」
上谷はニヤリと笑った。その記者会見での2人のやり取りはこうだった。まず、安納がベルトへの思いを真剣に話した。
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「私は10年前、売れない役者をしてました。見たこともない、怖いと思っていたプロレスに出会い、プロレスラーになりました。プロレスの魅力を知りました。プロレスがどんどん好きになりました。いつしか、そんなプロレスをもっと広げたい、もっとたくさんの人に知ってもらいたい。そう思い、自分なりにプロレスを届ける行動をしてきました。でも、なかなか厳しかった。それを上谷はやってみせた。ものすごいスピードで、世間にプロレスを届けた。私はそれを見てすごいと思う反面、本当に悔しくて。なんで私がしたかったことを他の人がしていて、私は黙ってるだけなんやろって」
「そんな上谷に立ち向かう選手を見てきた。コズエンだったら、玖麗(さやか)、なつみ(なつぽい)、そして(中野)たむ。私は何もできなかった。自信がなかったから。でも今の上谷に勝ったらどんな景色が待っているんやろう。知ってみたくなった。11月3日に決意表明したとき、本当は怖かった。緊張で震えるくらい怖かった。今、上谷の前に立たないと何も変わらないと思って。だから今までの自分を壊すために、勇気をもって上谷の前に立った。私は上谷を倒す。約束した。頂点に私がいきます」
この発言に対して、上谷がマイクを取った。


